インビザラインマウスピース矯正

下顎の形とマウスピース矯正や補綴への影響

    投稿日:2023年1月8日 | 最終更新日:2024年1月9日

    噛み合わせ、ハイアングルとローアングル

    あごの縦方向の形の分類分けです。ローアングルタイプで噛む力が強く顔がショートフェイスとなり、それに対して下顎の角度が浅く顔が面長で噛む力が少ないハイアングルタイプがあります。そのどちらでもない中間的なものをアベレージタイプと言います、歯科治療を行う上でそれぞれ注意しなくてはならない点が異なります。

    下あごを基準とした顔の縦の長さ

     「顎骨の大きさ」は前後的長さと横幅を計測して判断しますが、「顎骨の形」はというと顎関節(がくかんせつ)を中心とした下あごの開き具合で判断します。

    セファロ分析

     横顔のレントゲンであるセファロ分析で、頭蓋基底平面(脳のすぐ下の骨のライン)と下顎下縁平面(あご下のライン)の角度計測し角度分析します。

     一般的には中間である30〜40°のアベレージアングルケースが一番多くなります。

     この分析値は「あごの形」だけでなく「顔の長さ」までわかるため、矯正治療計画を立てる上で、重要なポイントになります。当然、平均値に近いアベレージアングルケースの方が矯正治療の難易度は下がりますし、平均値から離れていくほど難易度は上がっていきます。

    ハイアングルとローアングル

    ハイアングルケースの特徴

     ハイアングルケースは、ドリコフェイシャルパターンや長顔型と言い、骨格的には以下の特徴があります。

    ハイアングルとローアングル
    • 顔の形は面長で縦に長く、横幅と奥行きが短かい。
    • あご下のラインが下方に傾斜している。
    • あご先がシャープもしくは無い。
    • 顎角(エラ)がわかりすらい。

     渡来系の弥生人タイプとも言えます。農耕民族系であり噛む筋肉は細く、顎関節も華奢であり、口の開け閉めで雑音がなったり、顎関節症で関節が変形する方も見られます。上下前歯の噛み合わせは重なりが浅いことが多いです。

    面長の方は、あごの奥行きと横幅が狭く、もともと咬む力が弱い傾向にあります。そのため年齢と共にに歯列が前方に倒れてくると、かみ合わせが変化していきます。奥歯しか、かみ合わせが当たらなくなり、少しかみ合わせが高くなっていくことで「口が閉じづらくなった」と感じるようになったり、状況がもっと進むと、下あごは後方に回転した状態になっていく事に加え、顎関節症や低位舌などの舌癖の影響で、最終的に前歯が上下に開いていき「開咬(オープンバイト)」になっていく事がもあります。

     矯正治療において、比較的歯の動く速度が早いことが特徴です。これは、あご骨の密度が低く、歯の移動を遮る咬む力が強くないことが理由です。ただし、歯茎も薄いため歯肉退縮やブラックトラアイングルなどの副作用が発生しやすいです。あご骨のサイズに余裕がないため、叢生になりやすいです。

     矯正治療後の安定性に関しては、咬む筋肉が強くないため下あごが後方に開きやすく、開咬(オープンバイト)や上下顎前突(出っ歯)に関しては予後がよくない傾向にあります。また、歯茎が薄いため歯周病に罹患してしまうと一気に歯槽骨の吸収を起こし病変が進行してしまい予後が良くありません。

    ローアングルケース特徴

     ローアングルケースは、ブラキオフェイシャルパターンや短顔型とも言い、骨格的には以下の特徴があります。ローアングルタイプは咬合力が強く、どちらかというと噛み合わせが低くなりやすい傾向にあります。

    ハイアングルとローアングル
    • 顔の形は縦に短く、横幅と奥行きが広い。
    • あご下のラインは水平に近い。
    • あご先がしっかり前に突出している。
    • 顎角(エラ)がはっきりしている。

    ローアングルケース】

     縄文人タイプとも言えます。狩猟民族系であり噛む筋肉は太く、歯も歯茎も厚い傾向にあります。特に咀嚼筋が強い方は食いしばりから側頭部に筋肉痛が発生することがあります。歯並びはアーチ型で、上下前歯の重なりは深いことが多いです。奥歯から歯を失い方が多いです。幅広の方はあご骨の奥行きと横幅が広く咬む力が強い傾向にあります。奥歯のかみ合わせは咬む力によりしっかり支えられているため加齢とともに割と変化はありません。しかし、歯ぎしりや食いしばりにより歯が摩耗していくという特徴があります。奥歯の高さが低くなっていくとかみ合わせは低くなっていきます。そうするとより噛み締める状態になり下あごは前方に回転していきます。最終的には下の前歯が上の前歯の根元を前上方に突き上げが始まり、出っ歯傾向や過蓋咬合が助長されていくこともあります。

     矯正治療において、歯の動く速度が遅いことが特徴です。これは、噛み合わせの力が強くそれに対応するため顎骨の密度が高くなり、また歯の移動を遮る咬む力が強いことが理由です。あご骨のサイズに余裕があるため、歯列拡大によって歯を並べるスペースを作る治療方針を選択することが可能です。

     歯科治療後の予後に関しては、咬む筋肉が強いため噛み合わせが深くなりやすく、過蓋咬合や上顎前突(出っ歯)にになりやすく注意が必要です。また、修復した歯が頻繁に破折しやすく、一度歯を喪失してしまうとその後の補綴・修復治療が難しくなります。義歯は痛くて装着出来なく不向きな方もいます。

    縄文人の顎骨標本 1万年の眠り

    下顎の形とマウスピース矯正や補綴への影響
    佐世保市の縄文人顎骨 1万年前

    監修:医療法人博道会スマイルライン歯科・矯正歯科
       理事長 大串 博
    歯科医師臨床研修指導医
    日本歯周病学会 専門医
    日本口腔インプラント学会専門医
    日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医  ・歯周インプラント指導医
    日本顎咬合学会 認定医
    日本アンチエイジング歯科学会認定医
    インビザラインダイヤモンドドクター
    点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
    日本歯科医師会会員
    日本歯科医師会認定産業歯科医

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