インプラント専門医

インプラント治療の失敗と理由|専門医の解説

    投稿日:2022年2月19日 | 最終更新日:2022年8月5日

    インプラント治療におけるリスク

    泣き顔歯科医師

    インプラントをお考えの方は、手術や術後のリスク、デメリットというのはとても気になると思います。
    インターネットなどでもインプラント手術の失敗について色々と掲載されていますが、もし失敗してしまったらどうすれば良いのか?撤去後は?といった不安は大きいと思います。
    今回は手術・術後に考えられるリスクと、失敗してしまった場合の治療法についてご紹介致します。

    外科手術が必要

    つらい治療

    そもそもインプラント治療を行う予定であれば、抜歯時に成功率が高くなる色々な細かい処置を計画的に行います。
    歯の抜きかたによっては、その後のインプラント治療の難易度がとても高くなる例が多いです。
    できれば歯を抜く前にインプラント専門医に御相談下さい。

    インプラント治療には必ず外科手術が必要となります。
    この手術を受けられるかどうかは、患者さんの既往歴や生活習慣により変わってきますが、骨粗しょう症や内臓疾患など全身疾患の状態や服薬状態、歯周病の方、タバコを吸われる方など、場合によっては手術を受けられない可能性があります。
    服用されているお薬の種類によっては、手術中の出血が止まりにくくなってしまったり、感染症に掛かってしまうリスクがあるからです。
    歯周病の場合は歯槽骨がインプラントを支える事が出来なかったり、術後の歯肉の炎症を引き起こしやすく、タバコは傷口の治りを妨げるなど、様々なリスク要因となります。
    事前にしっかりと検査を受け、手術を受けられる状態かどうかを判断しないと危険が伴います。

    上顎と下顎の違い

    説明

    インプラントを入れる際には、骨に歯根の代わりとなるフィクスチャーというネジのようなチタンでできたインプラント体を埋め込みますが、骨に埋め込むリスクは上顎と下顎で異なります。
    上顎は頭蓋骨の構造上奥歯が上顎洞という副鼻腔に近く、骨にドリルで穴を開ける際にこの上顎洞を覆っている骨壁と膜を破ってしまう危険性があります。
    このような事が無いよう事前に細かい検査をする必要がありますが、上の奥歯はインプラント手術の中でも特に高度な技術を必要とする手術です。又、顎の骨は皮質骨と海綿骨という2種類の骨で構成されています。海綿骨は内側にある柔らかい骨で、その表層を皮質骨が覆う形になっていますが、上顎は下顎以上に海綿骨の割合が多く、この性質上インプラントと骨の結合がしにくくなったり、インプラントの固定が難しくなり失敗に繋がります。
    インプラントの成功率を上顎と下顎で比較したデータがありますが、

    5年成功率:上額=90% 下額=97%

    10年成功率:上顎=83% 下顎=95%
    15年成功率:上顎=79% 下顎=90%
    となっており、下顎よりも上顎の方がインプラントを保たせるのが難しい事が分かります。骨と結合出来ないとインプラントを撤去しなければならなくなります。

    インプラント術後のリスク

    歯科医師の悩み

    インプラント手術には様々なリスクが伴います。
    インプラント術後には、歯肉を切開した事による腫れや出血の他、腫れたり痛んだり、鼻血が出てしまう事があります。術後感染や費用のトラブルもあります。
    手術中に神経に触れてしまう事でお顔にしびれが残ってしまう事があります。
    しかし、インプラントが神経を圧迫している事が原因である場合は、インプラントを撤去又は位置をずらす手術が必要になることもあります。
    手術による内出血の紫斑は、通常抗生物質を服用しながら様子をみて頂き1~2週間程で自然と消えていくものです。鼻血は手術中の上顎洞内での出血でおきてしまう事です。
    抗生物質を服用する事で炎症が治まれば心配ありませんが、異常な出血の場合は更なる処置が必要となる可能性があります。
    又、術後にきちんとメンテナンスをしないと、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった歯茎や粘膜の炎症を引き起こす事となり、最悪の場合はインプラントを撤去しなければならなくなります。

    撤去後の再治療方

    骨を増やす手術

    説明

    インプラントと骨が結合しない、炎症を起こしている、動揺しているなど、インプラントに不具合があり撤去しなければならない場合や、インプラントが自然と脱落してしまう場合があります。
    そういった場合は、インプラント手術が失敗してしまった原因を突き止め、再度インプラントを入れられると判断されれば再手術となります。
    再手術となった場合、一度インプラントを撤去した箇所、脱落した箇所は多くの場合、骨が減ってしまっている事が考えられる為、骨を増やす手術を行い、骨の状態が整ってから再手術をすることもあります。

    歯肉の再生手術

    歯科衛生士

    インプラントを安定させ、良い状態で保たせる為には歯肉の状態が大きく関わってきます。
    歯肉がインプラント手術を出来る状態でない場合、歯肉を再生させる手術が必要となり、状態が整ってからインプラントの手術をする事になります。
    審美性にも影響しますので、歯周病専門医の担当となります。

    安全にインプラント治療を受けるために

    考える歯科医

    インプラントは周囲の歯へのダメージが少なく、お口の中に入れた時の異物感もほとんど無いなど、多くのメリットがあります。
    見た目も天然歯と近く、歯を失ってしまった方にとってはとてもおすすめの治療法です。
    しかし、失敗などのリスクも多い治療法です。安心して治療を進める為には、事前の徹底した検査と歯科医院の設備、手術を担当する歯科医師の症例数や患者さんの状態の把握、がポイントで歯科医院選びも慎重に行う必要が有ります。インプラントをお考えの方は、予めリスクについて知って頂いた上で、慎重に治療を進めて頂けたらと思います。

    歯科医院選びのポイント

    明るい歯科医院

    歯科医院の設備もポイントです。インプラント手術数が年間数十本の歯科医院と数百本の歯科医院では設備投資に大きな差が出ます。
    術者の腕が同等でも、設備に差があれば結果も違ってきます。
    また、アシスタントスタッフの技量にも差が出ます。
    CT設備やインプラント手術シミュレーションソフト、インプラント手術用サージカルガイド、これらは必須です。
    腫れが少ないように、超音波メスも大切です。

    歯科医師選びのポイント

    ヒント歯科衛生士

    インプラントは外科治療なので術者の知識と経験、技量によって大きな差が出ます。

    インプラント治療の専門は「インプラント専門医」です。

    歯科口腔外科医はインプラントの専門ではありません。
    歯科口腔外科専門医とインプラント専門医の両方のライセンスをお持ちの方はインプラント治療の専門です。

    インプラント治療における審美的な手術、前歯の歯肉の形や豊隆などは、歯周病専門医の分野です。

    咬み合わせの専門は咬み合わせ認定医の専門です。

    インプラント治療を受けても、手術で失敗して後遺症が残ったり、インプラント手術は上手く行っても笑うと歯ぐきがおかしかったり、
    咬み合わせが上手く行かずによく噛めないなど、本来の治療を受ける目的を満たせない事も多々あります。

    虫歯の治療と違いインプラント治療は十分な経験と知識、ライセンスを持つインプラント専門医の担当分野です。

    よく噛む高齢者

    インプラント埋入手術を受けてトラブルとなる前に、手術前に当院に御相談下さい。

     

    スマイルライン歯科・矯正歯科 インプラントクリニック博多

     

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