小児歯科専門

乳歯の虫歯は永久歯に影響します

    投稿日:2022年3月2日 | 最終更新日:2022年3月16日

    乳歯の虫歯は永久歯に影響します

    乳歯はどうせ抜けてしまうのだから、永久歯に生えかわってから虫歯予防をすればいいと思っていたら、それは大きなまちがいです。乳歯のうちから虫歯を予防しましょう!

    乳歯の主な役割

    毎日歯磨きをしていても、歯面に着色がみられるのは珍しくありません。歯磨きだけでは、着色を完璧に予防できない場合が多いです。それは、単に汚れが付着しただけでなく、唾液中のタンパク質(ぺクリル)と結びついて歯面に沈着してしまうことが原因です。

    噛む

    食べ物を噛み砕いたり噛み切ったりすることで、栄養素の吸収がよくなります。また、よく噛むことで顎が発達し、顔の形も整います。

    発音

    乳歯が生えることで正しい舌の位置を覚え、言葉を上手に発音・構音できるようになります。

    永久歯の誘導

    生え変わり時期に、乳歯の根の部分(乳歯根)が吸収されます。歯根吸収が進むと、ほぼ歯冠のみとなって自然に抜け落ち、その永久歯が正しい位置に導かれます。

     

    虫歯は虫歯菌による感染症です。乳歯に虫歯があると、口の中の虫歯菌も増えています。その悪い環境の中では新しく生えてきた永久歯も虫歯になりやすくなってしまいます。

    知られざる乳歯と永久歯の関係

    乳歯と永久歯の違い

    大きさ永久歯と比べて、乳歯の方が一回り小さいサイズです。

    乳歯は白に近い色をしていますが、永久歯は黄みがかった色をしています。

    歯質エナメル質、象牙質、歯髄、セメント質などそれぞれを構成する組織に違いはありませんが、乳歯は永久歯と比べ、エナメル質や象牙質の厚みが1/2しかないのが特徴です。

    本数乳歯の本数は全部で20本であるのに対し、永久歯は親知らずを含めて32本あります。

    乳歯は人間が胎児のときから形成されます。そして出産からしばらくして、まだ乳歯が生えていない段階にもかかわらず、永久歯は歯茎の中で形成され始めます。赤ちゃんの口を覗いて歯が生えていなくても、その中では永久歯が成長しているのです。

    乳歯の虫歯が進行して根の先に炎症が起こると、その下に控えている 永久歯の形成に悪影響をおよぼし、一部分が変色した永久歯が生えてくることがあります。
    また、これを放置すると永久歯の向きが変わって、横から生えてきてしまったりすることがあります。

    あまり理解されていないのですが、乳歯の役割はただ食べ物を咀嚼するためだけに存在するのではありません。乳歯はそのすぐ下で待ち構えている永久歯が正しい位置に生えてくるように誘導する役割を持っています。つまり乳歯の健康は永久歯の健康に直接結びついているのです。

    乳歯の虫歯は永久歯の歯並びに影響を与える

    歯というものは1本1本が独立して存在しているような錯覚に陥りがちです。けれども1本の歯が健康な状態を保つためには、その両隣にある2本の健康な歯に支えられているのです。むしろすべての歯は、お互いに支え合っていると考えた方がいいでしょう。

    まだ生えかわる時期ではないのに、虫歯のためにやむなく乳歯を抜いてしまうと、そのすきまに周りの歯が寄ってきてしまいます。
    すると、生えかわりの時期が来たときには十分なすきまがないため、永久歯がまっすぐに生えてこられず、ずれたところから生えてきたりして歯並びが悪くなってしまいます。

    永久歯が生えている隣の乳歯が、虫歯の影響で1本抜けたとします。するとすでに生えていた永久歯は、抜けあとの空間に傾き、新たに生える永久歯の空間を狭める結果になるのです。

    親の虫歯菌を感染させないためには…

    ではこの虫歯菌はどこからやってくるのでしょうか?人間が生まれたばかりのとき、口の中に虫歯菌は存在しません。ということは、赤ちゃんをこの虫歯菌に感染させない心配りが必要になります。

    家族全員の口腔ケア

    赤ちゃんは無菌状態で産まれてきます。つまり、虫歯菌は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しません。
    赤ちゃんの虫歯を防ぐには、赤ちゃんに虫歯菌をうつさないように、妊娠中から家族全員がセルフケアや定期的な歯科検診を徹底し、口腔内を清潔に保つことが大切です。未治療の虫歯がある場合には、早めに歯科医院で治療を受けましょう。

    例えばお子さんにスプーンで食事を与えるとき、ご自分で食べる様子を見せてあげ、そのスプーンをそのままお子さんの口の中に入れる様子を見たことがありませんか。この瞬間なのです、虫歯菌がお子さんの口に住み着くのは。

    子どもの細菌叢は親の細菌叢に似てくると言われています。その大きな理由として、箸やスプーンを知らず知らずのうちに共有すると、親の細菌がお子さんに感染するからです。いくら小さなお子さんが可愛いからといって、口移しで食べさせるなど論外でしょう。

    乳歯が生える段階から、お子さんの口の中の健康に気を配ってあげること、それがあなたの残せる子供さんへの財産なのです。

    佐世保市の小児歯科医院

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