笑気吸入鎮静法|ストレスをできるだけ感じさせない治療
不安、ストレスをできるだけ感じさせないように、また、痛みの少ない治療を行うため、 希望される患者様には笑気吸入鎮静法を取り入れてます。 「歯の治療は怖くて痛い。。。。」というイメージをお持ちの方は 笑気吸入鎮静法で不安感やストレスから解放された状態で治療を受けることができます。 精神的な苦痛が歯科治療中に起きる体調の不調となりやすいからです。
「笑気吸入鎮静法」とは?
大人はもちろん子供まで歯科治療に対して不安やストレスを大きく感じてしまう患者様に、リラックスして治療を受けていただくための方法です。笑気ガスを鼻マスクでから吸うだけで鎮静状態が得られ治療後は30分以内に肺などから体外に排泄されてしまいます。体に負担が無く、副作用が非常に少ない安全な鎮静法です。入院の必要も無く外来で行えます。
笑気と高濃度酸素を混合して使用します。使用中は高濃度酸素が安定供給されますので酸素カプセルに入っているような状態となります。笑気 | 低濃度(30%以下)のほんのり甘い香りのする無色の気体 鎮静作用により血圧や脈拍を安定させる |
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酸素 | 高濃度(70%以上)の無色無臭の気体 臓器組織への酸素量を増やし心臓や脳の働きを正常に保ちます |
笑気吸入鎮静法+心拍変化がすくないスキャンドネスト局所麻酔+痛みの少ないEr:Yagレーザー併用の虫歯治療
お子さんの歯科治療に使用を選択することがある理由
笑気を利用した子供の治療は精神的ストレスを下げるためと思われているかと思いますがそれだけではありません。
最近、医療安全の面から見直されております。大人と子供の患者さんの大きな違いは心拍数と興奮状態です。子供の方が高齢者と似ていて体の予備力が低いと考えられます。 虫歯を治すという歯科治療はお子さんにとって快適なものではありません。興奮して泣いているイメージがあるかと思います。大人ではどうでしょうか。歯科治療時における子供の心拍数の上昇は望ましいものではありません。大人の心拍数は1分間に80回程度に対して、子供の場合は100回程度です。小さな体で心臓はかなり早くいつも動いております。興奮により130程度まで上がる事もあります。
大人では、ジムでスポーツをしている際に心拍数120を超えるトレーニングは避けるよう指導があります。子供だから大丈夫ではありません。過度な心拍数の上昇は危険性があります。 子供の歯科治療は心拍数の測定や血中酸素濃度を測るなどの配慮が必要です。モニタリングを行います。また、笑気吸入鎮静法は、鎮静効果と高濃度酸素の効果により興奮状態を下げる作用と心拍数の変動を予防させる効果があります。もう一つ歯科特有なのですが針を歯肉に刺して行う麻酔薬(局所麻酔薬)の中に血管収縮薬が入っております。薬の影響で更に心拍数が上がりやすくなります。最近ではスキャンドネストと言われる血管収縮薬が入っていないものがあります。
子供の治療の場合、歯肉に治療したあと麻酔が効きすぎてしまいびりびりした感覚が長く続くため唇や頬を噛んでしまうことが良くあります。スキャンドネストは、アレルギーが少なく麻酔効果が強くなく早く切れる局所麻酔薬ですので麻酔後の不快症状を予防することができます。 笑気吸入鎮静法+スキャンドネスト+Er:Yagレーザー併用による虫歯治療を用いることは、子供の虫歯の治療や医療安全から見て選択しても良い方法です。もちろん恐怖心がなく心拍数が安定しているお子さんや局所麻酔が必要のない場合は、笑気吸入鎮静法は必要ではなくEr:Yagレーザーを利用した痛みの少ない虫歯の治療で対応可能です。脳梗塞や心臓に病気をお持ちの方や血圧が高い方などに使用する場合
脳、心臓、血圧が高い方は、心拍の増減や低酸素や医療的ストレスに弱く予備力があまり大きくない状態です。笑気吸入鎮静法を用いることで体を高酸素状態に維持し鎮静して局所麻酔薬の効果を高めて使用量を減少させることにより安全に治療する方法があります。
すべての処置に必要ではありませんが局所麻酔薬がある程度使用しなければならないときなどには、偶発症状を避ける為に併用する方が安全です。歯科処置に対して軽度に恐怖心が強い方や嘔吐反射が強い方
歯科処置の恐怖心が強い方は大人の方でも多くいます。歯科の処置自体好きな方はあまりいないかと思います。
人は神経的な恐怖心でショックを起こしてしまうことがあります。その結果、脈拍が早くなったり遅くなったり血圧が高くなったり下がったりそれぞれ様々です。連鎖されてしまう循環の変動に体も心もついていけなくなりその後気分不快などの不調を訴えられる患者さんがいらっしゃいます。 もちろん歯科恐怖症自体の治療は心の病ですので心療内科や精神科での心のケアが必要です。歯科では医療設備として笑気吸入鎮静法があり、ある程度の鎮静作用があるため自覚症状が強くなく軽度の歯科恐怖症に対応できるケースがあります。 ある程度、歯科処置の刺激が緩和されますので歯科治療を受け入れやすいようです。すべて笑気吸入鎮静法で対応できれば良いのですが中等度、重度の歯科恐怖症方の場合、効果不十分な事があり静脈内鎮静や全身麻酔の適応の場合があります。嘔吐反射がある場合
歯の治療中、のどに水がたまるのは平気と言う人はあまり少ないかと思います。ある程度の我慢が必要ですが患者さんの中には反射として、のど付近を触られると吐きそうになってしまう患者さんがおります。歯科処置中ののど付近の吸引や歯型をとっている時などに吐き気を感じやすいようです。
すべての患者さんに効果があるわけではないのですが、歯科処置中ののどの刺激を笑気吸入鎮静法により緩和させることができます。笑気吸入鎮静法に関するQ&A
Q. 笑気の良い点はどんなところですか?
- 患者様の不安感やストレスを和らげます
- 嘔吐反射(反射的に吐いてしまうこと)を和らげる
- 痛みを感じにくくなります
- 笑気を用いても意識はあります
- 吸入を止めると素早く意識が回復して数分で帰宅することができます
Q. 笑気を使うと、どんな感じになるの?
- 気持ちよく酔ったような感じ。ビール2杯程度の酔った感じです
- 不安が和らいでフアフアとしたハッピーな感じ。リラックスした状態になります
- 手足が暖かくなるような感覚(効き易さに関しては個人差があります)
Q. どんな患者さんに向いてますか?
- 歯科治療に不安感や不快感のある方、歯科治療に対して恐怖心のある方
- 高齢者
- 血圧の高い方や心臓に病気を持っている方
- 口の中を触られると吐き気を催しやすい方
- インプラント治療を受けられる方など
Q. 笑気が使えないケースはありますか?
- 鼻が詰まっているなどの鼻呼吸ができない方(鼻から笑気を吸っていただくので)
- 禁忌症の方
- 喘息等の呼吸器疾患のある方
- 体内に閉鎖腔のある病気(中耳炎、腸閉塞、気胸、ブラと呼ばれる肺の閉鎖腔)をお持ちの方
- 過換気症候群の方、パニック障害の方など
静脈内鎮静法(セデーション)のメリット・デメリット
静脈内鎮静法のメリット
- 不安や恐怖心、ストレスが薄れ、リラックスした状態で歯科治療を受けられる。
- 血圧や脈拍、呼吸が安定するため、持病のある方でも安心して歯科治療を受けられる。
- お口の中に物が入ると「オエッ」となる嘔吐反射の強い方にも有効。
- 健忘効果があるため、実際よりも治療時間が短く感じられる。
- 全身麻酔のように意識がなくなるわけではないので、呼びかけに応じられる。
静脈内鎮静法のデメリット
- 治療前に点滴を取る必要がある。
- トータルの治療時間が長くなる場合がある。
- アレルギーがある方などは使用できない場合がある。
- 麻酔が覚めるまである程度、休む必要があり、当日は車の運転ができない。
笑気吸入鎮静法と静脈内鎮静法のリスク・副作用
笑気吸入鎮静法も静脈内鎮静法も深刻な副作用は報告されておらず、ともに安全性の高い麻酔法だと言えます。心疾患や高血圧などの持病をお持ちの方も、これらの鎮静法をおこなうことで血圧や心拍数が安定するため治療に伴うリスクを軽減できます。 なお、笑気吸入鎮静法に比べると静脈内鎮静法のほうが確実な鎮静効果を得られますが、より安全な静脈内鎮静法を受けるには、慎重に歯科医院を選ぶ必要があります。具体的には、麻酔専門医が生体情報モニターで心拍数や血圧など全身管理をおこないながら静脈内鎮静法をおこなっている歯科医院のほうが安心です。歯科心身症と歯科治療
歯科心身症の患者さんでは、総じて通常の歯科治療を繰り返すほど、その症状は治りにくくなってしまいます。 その根底にひそむ「歪んだ口腔感覚」を修復せずに、いくら口腔内の処置を熱心に行っても治療は成功しません。 また、安易に心理的な問題に介入するより、口腔感覚の安定を図ることが大切です。 まずは歯科治療を中止して無用な刺激を遮断した上で、鎮痛補助薬などによる薬物療法を行います。 口腔感覚の安定を得た後なら、通常通りの歯科的処置がスムーズに遂行できます。 その上で「歯が原因」「歯のせいで全身的不調が生じている」などといった誤った認知(考え)や行動に対する修復技法(心理療法)も併用します。 しかし、注意が必要なのは口腔感覚の不調は、いろいろな原因で起こりうるということです。 稀にうつ病や統合失調症の患者さんに生じることもあれば、震災のような過酷な状況やパーソナリティの限界から不調になることもあります。このようなケースでは、精神科医との連携が必須になります。症状の分類
約7割が原因不明の痛みに関連した症状です。
痛みの問題
- 舌痛症 … 舌など口腔粘膜のヒリヒリピリピリした慢性痛
- 非定型歯痛 … 歯科治療後も長引く歯牙、歯肉、顎顔面の慢性痛
不快感・異常感の問題
- 口腔異常感症(口腔セネストパチーを含む) … 口腔内のネバネバ、ベタベタ、ザラザラ、異物感、乾燥感、など触覚に関わるものや、異味覚など味覚に関わるもの
- 咬合(かみ合わせ)異常感 … 歯科で何度も修正しても治らない咬合や義歯の違和感