歯周病の検査

歯周病の検査・歯周ポケット検査

投稿日:2020年10月5日 | 最終更新日:2020年11月5日

歯周病の検査

歯周病は、特に初期の段階では自覚症状がほとんど出ないので、歯科医療機関での検査を受けないと正確な診断を行うことはできません。歯周病の検査は、プローブという針状の器具を使って歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、エックス線写真によって歯を支える骨の状態を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となる歯の周囲の汚れ(プラーク)の付着状況を調べる検査などからなります。

歯周病は、歯の周囲の歯ぐき(歯肉)に繁殖した細菌の毒素によって、歯肉が腫れたり歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされていく病気です。かなり進行してくると、歯肉から出血が現れたり歯がグラグラしてきたりしますが、初期の段階では患者さん自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため歯周病を早期に見つけるためには、歯科医療機関で検査を受ける必要があります。

歯周ポケットの測定

歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して重症度の判定に用います。

この距離を測定することをプロービング検査と呼び、歯周病の基本的な検査の一つとされています。測定には目盛りのついたプローブ(探針:針状の金属製の器材)を歯と歯肉のすき間にそっと差し込みます。25g程度と非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。図のようにプローブで深いポケットがないか検査をして記録していきます。

歯周ポケットの状態

歯と歯肉の隙間は、歯周病のない健康な歯肉では1~2mm程度なのですが、歯周病に罹った歯肉では3mmを超えるような深さになり、重症の患者さんでは10mmを超えるほどプローブが入っていくこともあります。(写真のケースは健康に見える歯肉にもかかわらず6mmもプローブが入る状態です)

エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量

さらに歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。

エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。写真のように比較すると、歯周病が進行するほど歯槽骨は吸収されている様子がわかります。

染色液によるプラーク付着率の検査

歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れ(プラーク)です。プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえでプラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。

プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。(写真で歯が赤く染まっている部分に付着しています。)そして肉眼で確認して、プラーク付着率を記録します。プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症のとれやすさや治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。

その他の歯周病の検査としては、歯ぐきからの出血の程度を調べる検査(出血指数)、歯の揺れを調べる検査(動揺度検査)、歯周病原菌についての細菌検査、などがあります。

関連記事

TOP