歯周病の検査

歯周病の検査・歯周ポケット検査

投稿日:2022年3月3日 | 最終更新日:2024年2月3日

歯周病の検査とは?

歯周病は、特に初期の段階では自覚症状がほとんど出ないので、歯科医療機関での検査を受けないと正確な診断を行うことはできません。歯周病の検査は、プローブという針状の器具を使って歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、エックス線写真によって歯を支える骨の状態を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となる歯の周囲の汚れ(プラーク)の付着状況を調べる検査などからなります。

歯周病は、歯の周囲の歯ぐき(歯肉)に繁殖した細菌の毒素によって、歯肉が腫れたり歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされていく病気です。かなり進行してくると、歯肉から出血が現れたり歯がグラグラしてきたりしますが、初期の段階では患者さん自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため歯周病を早期に見つけるためには、歯科医療機関で検査を受ける必要があります。

歯周病の検査

歯周病の早期から現れる症状の一つに、歯と歯肉との間に隙間ができる歯周ポケットという状態があります。歯周ポケットは一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して重症度の判定に用います。

この距離を測定することをプロービング検査と呼び、歯周病の基本的な検査の一つとされています。測定には目盛りのついたプローブ(探針:針状の金属製の器材)を歯と歯肉のすき間にそっと差し込みます。25g程度と非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。図のようにプローブで深いポケットがないか検査をして記録していきます。

歯周ポケットの状態

歯と歯肉の隙間は、歯周病のない健康な歯肉では1~2mm程度なのですが、歯周病に罹った歯肉では3mmを超えるような深さになり、重症の患者さんでは10mmを超えるほどプローブが入っていくこともあります。(写真のケースは健康に見える歯肉にもかかわらず6mmもプローブが入る状態です)

エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量

歯周病の検査・プラークチャート

染色液によるプラーク付着率の検査

歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れです。プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえでプラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。

プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。(写真で歯が赤く染まっている部分に付着しています。)そして肉眼で確認して、プラーク付着率を記録します。プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症のとれやすさや治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。

その他の歯周病の検査としては、歯ぐきからの出血の程度を調べる検査(出血指数)、歯の揺れを調べる検査(動揺度検査)、歯周病原菌についての細菌検査、などがあります。

プロービング検査

歯周ポケットの診査は、歯周病の進行状態を評価するために必要な検査で、直視できない歯肉の内側の炎症や歯石の有無、歯根の形態などを確認することができます。
歯周プローブという器具を歯周ポケットに挿入(プロービング)して、歯周ポケットの深さ(mm)や出血の有無などを調べます。
プロービングにより歯周ポケットがどの程度深くなっているのか、歯周ポケットから出血や膿が出てこないかなどを調べます。
プロービングは20gぐらいの力(指先に検査器具を軽く押し当てて爪が白くなる程度の力)で測ります。
健康な歯茎だと深くても3mm程度です。
歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなります。
歯肉炎は仮性ポケット(歯肉ポケット)が2~6mm、軽度歯周炎は歯周ポケットが3~5mm、中等度歯周炎は4~7mm、重度歯周炎は6mm以上になります。
また、プローブを歯周ポケットの中に軽く挿入した時の出血の有無(BOP)で炎症の程度を判断します。

X線検査方法

さらに歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。歯石の有無も同時に調べます。

エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。写真のように比較すると、歯周病が進行するほど歯槽骨は吸収されている様子がわかります。

X線検査をして骨が溶けていないか、溶けているならどの程度なのかを調べます。
X線検査は通常小さなX線フィルムを10〜14枚程度撮影します。

エックス線検査で歯槽骨や歯の状態を調べます。歯周病で骨が溶けている部分を確認することができます。

デンタルエックス線写真は、歯や歯槽骨の状態が詳しく分かる撮影法ですが、1枚の写真には3~4本の歯しか写らないため、すべての歯を調べるために10枚ないし14枚のエックス線写真撮影が必要になります。

歯周病の検査

パノラマエックス線写真では、上下すべての歯、顎の骨、顎関節、上顎洞など、口の中だけでなくその周囲まで全体的に調べることができます。

歯科用3D・CT写真

歯肉の診査(口腔内写真撮影)

 歯肉の状態やプラーク・歯石の付着状況を観察することで、口腔内環境や歯周病の進行状態を確認することができます。

歯周病の口腔内では、歯肉が赤く腫れたり、歯肉からの出血や膿が出たり、プラーク(白~黄色)や歯石(黄色~茶色)が付いています。

歯周病治療の各ステップで口腔内写真を撮影することで、現在の状態や治療の効果を判断することができます。

動揺度の検査

歯周病によりどの程度歯が動いているかを調べる検査です。歯のぐらつき度を診査することで、歯周組織の破壊の程度を判断します。ピンセットで歯の動揺度(0度~3度)を調べます。

歯周病が進行すると、歯を支えている骨が溶けて歯のぐらつきが大きくなります。

動揺度 0度:正常
動揺度 1度:前後にわずかに動く
動揺度 2度:前後左右に動く
動揺度 3度:前後左右上下に動く

かみ合わせの検査

バランスよく噛み合っているか、歯ぎしりや食いしばり等の害がないか等を調べます。

歯周病の検査で中等度以上と診断された方は、歯周病専門医にご相談下さい。
また、他院からのご紹介の方は、診療情報提供書をお持ちください。

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