金属アレルギー歯科治療による

歯科金属アレルギーについて|症状や原因、対処法など

金属の溶出

金属に触れた部分の肌が赤みを帯びたり、かゆくなったり等のつらい症状が出る「金属アレルギー」
近年、急増している現代病の一つで、予備軍を含めると日本人のおよそ12人に1人が「金属アレルギー」に悩まされていると言われています。
ここでは「歯科金属アレルギー」の症状や仕組み、予防や対処法などについて詳しくご紹介します。

歯科金属アレルギーってどんな症状?

症状のあらわれ方は人それぞれですが、主な症状は次のようなものになります。

アトピー性皮膚炎、湿疹

アトピー性皮膚炎は、花粉症などのアレルギー疾患とともに増加しています。原因としてダニやハウスダストなどが有名ですが、意外に知られていないのが歯科材料(特に金属)です。
一般的な治療を行っても、改善が見られない場合は、歯科材料が影響している可能性があります。アトピー性皮膚炎の治療は、現在もなおステロイド剤を中心とした対症療法ですが、
最も大切なのは原因を見つけて除去することです。

脱毛症

蓄積された金属が一定のアレルギー許容量を超えると、一気に髪の毛が抜けてしまうことがあります。銀歯による金属アレルギーから円形脱毛症を発症し、髪の毛がほとんど抜け落ちてしまったケースもあります。

皮膚科で円形脱毛症と診断され、ステロイド剤による治療を行ないましたが、全く効果が出ず、別な医師による診断で、金属アレルギーであることが発覚し、お口の中の歯科金属を除去したところ、抜け毛が止まり完治に至ったというケースの報告もあります。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症とは手のひら、足の裏に多数の膿疱ができる難治性の慢性炎症性疾患です。膿疱は数日で乾燥し、黄褐色となりぽろぽろと皮がめくれてきます。

掌蹠膿疱症

爪にも膿疱が出来ることもあり、爪の変形や変色を起こすこともあります。

味覚障害

アレルギー反応が舌の表面の味の受容体(味蕾)に起こると、味が分かりづらくなることがあります。

全身に出る場合は、体に取り込まれた金属イオンが体内のタンパク質と結合してアレルゲンとなり、汗として排出されるときにその皮膚の表面でアレルギー反応を起こします。重篤化すると鎮痛剤も効かないくらいの痛みを伴うこともあります。

歯科金属アレルギーが起きる仕組み

汗などによって溶け出し体内に入り込んだ金属を、体が「異物」として認識し、過剰反応することで、アレルギーの症状が起きるのです。
口の中は常時水分があるので溶けだしやすいのです。
今まで大丈夫だったのに、ある日突然発症することも…
この「抗体の過剰反応」は、誰にでもすぐ起こるものではなく、その人の体質によって、アレルギー反応が出るかどうか、どのタイミングで表れるかには個人差があります。
これは、人によってアレルゲン(金属)に対する許容量が違うためとされています。
すぐに反応が出なかった方でも、同じ金属を着け続けることにより、アレルゲンが体内に蓄積され、その人の許容範囲を超えてしまうことで、金属アレルギーを発症する体質になってしまうことがあります。
数日で発症する方もいれば、数年経ってから反応する場合もあり、「今まで大丈夫だった金属で、ある日突然アレルギー症状が出るようになってしまった…」というケースがあるのは、このためだと考えられます。

どの金属でアレルギーが起きるかも、人それぞれ

また、反応を起こす金属も人それぞれで、この金属は大丈夫だけど、こちらの金属ではアレルギー反応が出てしまうというケースがほとんどです。

  • 金属アレルギーの起こりやすさ(許容量)、反応を起こしやすい金属は、ひとそれぞれ異なる
  • それまで反応が出なかった人でも、許容量を超えることである日突然金属アレルギーになる事がある

金属アレルギーの対処法は?

一度なってしまうと治せない金属アレルギー

厄介なことに、一度その金属に対する許容範囲を越えてアレルギー反応を起こしてしまうと、その後もその金属に反応し続けてしまう可能性が高く、ほとんどの場合、その体質は完全に治すことができません。

アレルギー反応が出てしまった場合は、これ以上悪化させないように注意すること、まだなったことのない方は、ならないための予防を意識することが大事です。

症状が出てしまったら、まずは金属をはずすこと

肌の赤みやかゆみなどの症状が出たとき、金属アレルギーなのか確認せずにそのまま金属を身に着け続けていると、症状が次第に悪化してしまうことがあります。
(例:赤みを帯びているだけだった部分に炎症や発疹があらわれるなど)
お肌に異常を感じた時点で、まずは身に着けているアクセサリーをはずし、身に着けないようにする事が重要と言えます。

 

金属アレルギー経過

原因となる金属を避ける

症状を悪化させないためにも、予防のためにも、一番大事なのが「アレルギー反応を起こす金属を避ける」ということです。
とはいっても、「どの金属でアレルギーが起きる分からないから、すべての金属を避ける」というのは現実的にむずかしいので、
気になる方は皮膚科で「パッチテスト」や「血液検査」といったアレルギーの検査を受け、自分が金属アレルギーなのかどうか、
どの金属に対するアレルギーを持っているのか、調べてもらうことをおすすめします。

また、金属にもアレルギーを起こしやすいもの、起こしにくいものがあります。

金属アレルギーを起こしやすい金属とは

以下の金属は、金属アレルギーを起こしやすいと言われている金属です。
比較的安価な金属が多いため、手頃な価格のアクセサリー等に使用されていることが多くありますが、金属アレルギーが心配な方は、できるだけこういった金属を避けることをおすすめします。

  • ニッケル
  • コバルト
  • 錫(すず)
  • パラジウム・クロム
  • 亜鉛
  • 銅 など

金属アレルギーを起こしにくい金属

最もアレルギーを起こしにくい「チタン」

チタンは主な金属の中で、「最も金属アレルギーを起こしにくい」と言われています。
イオン化傾向が低く、アレルギーの原因となる金属イオンが水に溶け出しにくいため、金属アレルギーはほとんど起こらないと言われています。
このような特長から、人の身体と最も良い相性を持つため、体内に埋め込む医療用インプラント(人工歯根)や人工骨、心臓弁、医療器具などにも広く用いられています。

1. 虫歯や歯周病の予防をしてお口の中に金属を入れない

金属の歯
歯の治療では必ず人工物を使います。人工物は体にとって異物であり、この異物がアレルギー反応を起こします。
重度の歯周病や口内炎などの炎症状態が続いているお口の中では特に金属がイオン化しやすく、金属アレルギーを起こしやすいと言われています。
そのため虫歯や歯周病を予防することにより、出来るだけお口に中に金属を入れないようにすることが金属アレルギーにならない最も効果的な方法です。

2. 水銀が含まれるアマルガムは取り除く

歯 水銀
長いあいだ世界的に使われてきた金属で、40~50%の水銀のほか、銀、スズ、銅などからなる化合物です。日本でも保険診療の適用材料とされ、長年使用されてきました。
しかし、水銀は溶け出しやすく歯や歯茎を黒くしたり、毒性が強く体の中に蓄積しする金属です。
そのため金属アレルギーの原因になりやすく、お口にまだ残っているようであれば取り除いた方がいい金属です。

3. さびている金属は取り除く

 

錆びた銀歯
保険で使われている金属は金銀パラジウムと銀合金です。これらの金属は合金のためにいろいろな金属が含まれています。
そのため4~5年くらい経つとさびて金属イオンが多く出てきます。その溶け出した金属イオンが体のタンパク質と結びついてアレルギー源となってしまいます。
また、歯や歯茎に溶け出して黒く変色させる場合もあります。因みにドイツの保健省やスウェーデンでは、「パラジウム合金は使用しない」という勧告を出しています。

4. 金属の種類を変えない

異種金属
お口の中の金属の種類が変わると噛むたびに微弱な電流(ガルバニー電流)を発生させることがあります
これによって金属イオンが多く排出されるようになります。注意点は、保険診療の金属は合金のため、同じ銀歯のように見えても全て同じとは限りません。
金属の組成がメーカーにより異なるからです。

5. 治療で金属を使用しない

非金属

金属は水分があるところでは金属イオンになっています。スプーンやホークのように一時的に入ってくるならいいのですが、お口の中では金属が常に溶け出しているためアレルギーの原因となりやすいです。
ただし、金属でも金やチタンはさびにくく安定しているためアレルギーになりにくいです。
因みに、コバルト、スズ、パラジウム、インジウム、イリジウム、クロム、ニッケル、水銀などが口腔内でのアレルギーの原因になりやすいと言われています。

6. 免疫力を上げる

金属アレルギー
過労や、寝不足の時など体の免疫力が低下したときに、アレルギー反応が強く出ることがあります。出来るだけ体力が落ちないように普段から健康的な生活を心がけるようにしましょう。

金属を使わない歯科治療法の解説

1. コンポジットレジン

金属アレルギー
保険診療でできるプラスチックの白い詰め物です。前歯や奥歯の小さい虫歯治療に使うことができます。処置が早く終わるなど多くのメリットがある反面、強度はさほど強くなく、経年劣化により変色するなどのデメリットもあります。

2. ファイバーコア

金属アレルギー
レジンコアにグラスファイバーの芯を加えた土台で、強度が増し、歯が割れにくくなります。保険外診療となります。

3. ハイブリットセラミック

金属アレルギー
この素材は、セラミック微粒子を高密度に配合したプラスチック樹脂です。
奥歯のように噛む力が強くかかる部分にも使用できる強度と、適度なやわらかさを兼ね備えていて、かみ合わせの相手の歯を痛めないなどやさしい素材です。ただ、セラミックほどの透明感はなく経年劣化により変色していきます。
おもに中程度の大きさのむし歯の治療に用いられ、型取りを行って精密に作成する必要があります。

4. オールセラミック、ジルコニア

金属アレルギー
金属を使わずにセラミックだけで治療する方法です。詰め物、被せもの、ブリッジなど現在はセラミック治療の開発が進みほとんどの治療がセラミックで行うことが出来るようになりました。
天然の歯よりも硬い強度で、自然の歯に近い光沢と白さを持ち、審美的に美しい仕上がりになり、経年劣化がないなどのメリットがある一方で保険外診療となり価格が高いのがネックとなります。
近年では人工ダイアモンドである「ジルコニア」を使用した高い強度を持ったオールセラミックが注目されています。

6. ノンクラスプデンチャー

金属アレルギー
部分入れ歯に金属のバネを使わない入れ歯です。見た目にもきれいで入れ歯が入ってる様には見えません。また、弾性と強度があるので、壊れにくいといった特徴もありますが保険外診療となります。

金属アレルギーの検査

 パッチテスト

金属アレルギー
金属アレルギーになると原因の金属を取り除く必要があります。原因を特定するには皮膚科やアレルギー科でパッチテストという検査があります。

例えば食物アレルギーの際、どの食べ物にアレルギーがあるのかを調べるのと同じように、どの金属にアレルギーがあるのかを皮膚の表面に金属を含んだ試薬を貼り付けて調べます。

他のアレルギーと同じように、1種類だけでなく何種類もあったり、パッチテストでは検出されない場合もあります。
尚、パッチテストは既に症状があり原因を特定する目的で検査を行う場合のみ保険適用となります、佐世保市総合医療センター皮膚科を紹介致します。